看護師による不整脈の種類や原因・症状・治療法など徹底解説

異常な電気信号の旋回で起こる 心房粗動とは?


心房粗動が起こっている心臓の電気の流れをイメージするのはちょっと難しいかもしれません。


正常な心臓の鼓動は、洞結節(ペースメーカー細胞)から出された電気信号が、一方通行に心室(心臓の下の部屋)の端々にいきわたり心臓を拍動させます。
この流れを繰り返しています。


多くの心房粗動は、右心房と右心室ドアである「三尖弁」という弁の周囲を、電気信号がグルグルと高速で回っている状態となっています。
その高速回転している電気信号の一部が、心室に伝わり心臓を拍動させる状態になっています。
三尖弁周囲以外のところで電気信号が回転するタイプもあります。



心房粗動の症状は


症状としては「胸がドキドキする」「胸が早鐘を打つように感じる」「胸が気持ち悪い」「胸が痛む」などです。


一般的には、発作的に突然始まります。
安静にしてれば自然に止まることもありますが、自然に止まらない場合は、電気ショック(体外式除細動)で止める治療を行います。


脈の速さは、心室に伝わる電気信号の数で変わる


心房粗動では、電気信号の旋回によって心房(心臓の上の方の部屋)が1分間に240回以上の速さで興奮した状態となります。
この電気信号の一部が、規則正しく心室に伝わっていきます。


すなわち、脈拍数が1分間に60回で心室粗動の場合、心房の興奮は4回に1回のペースで心室に伝道していることになります。
これを「4:1の心室粗動」と呼んでいます。
症状が強く、緊急処置が必要な心室粗動の多くは、脈拍が1分間に120回以上となる「2:1の心室粗動」です。



心室粗動は怖い不整脈か


心室粗動は、もともと心臓の機能が弱い、心筋症、弁膜症などの基礎疾患がある場合、異常に早い脈拍数が続くことで、心臓に負担がかかりすぎて「心不全」の状態になる恐れがあります。
また、心房細動より頻度は少ないですが、心房の中に血栓ができて、「血栓症」という合併症を引き起こす可能性があります。


心房粗動の診断は


心房粗動は、心電図で診断します。
心房細動のように、数分〜数日単位で自覚しないうちに「なったり治ったり」することは少ない為、心房粗動発生時の心電図が重要です。
脈拍数がかなり多い場合は、他の頻脈性不整脈と鑑別しにくいことがあります。


心房粗動の治療 頻拍への対処は


心室へ伝わる数が多く、頻拍発作を起こしている場合は、脈拍数を減らす点滴薬を注射して不整脈の停止を試みます。
心室に伝わる電気信号の数が減り、脈拍数が減れば心臓への負担は軽くなり症状は和らぎます。
ただし根本的に心房粗動がなくなったわけではありません。


より症状が重く、緊急性がある症例(脈拍が速すぎることで血圧が低下したり、心不全になりそう)は、電気ショック(体外式錠細動)を当てて不整脈を止めます。



心房粗動の治療 カテーテルアブレーション


異常な電気信号が高速回転している場所を特定し、回路の一部を焼き切って電気の流れを止める根治的治療が心臓カテーテルアブレーションです。
心房粗動に対するカテーテルアブレーション治療は、心房細動に対するカテーテルアブレーションと比較しかなり成功率が高くなっています。


心臓カテーテルアブレーション自体の合併症や、危険性、入院期間の目安などは症例によって異なる為、医師の説明をよく確認してください。



心房粗動の治療 血栓症の予防


心房粗動が起こっている状態では、心房の収縮がきわめて速いため、中にたまった血を効率的に押し出す力が弱くなります。
そのため、心房の中で血液が滞ります。
血液は流れていないと固まる性質があります、これを凝固と言います。
この血液凝固が心房の中で起こり、細かい血の塊が出来てしまうのです。


この血の塊を「血栓」といいます。
形成された血栓が、心臓の拍動に押し出され、どこかの血管を詰まらせてしまうことを「血栓症」と言います。代表的で一番怖いものは、脳の血管が詰まる脳梗塞です。


そこで、「心房粗動があっても、血の塊が出来ないようにする」ため抗血小板剤、ワーファリン等の血の凝固作用を抑制する薬を服用する必要があります。
抗血小板剤・抗凝固剤の飲み方や服用の注意点・禁止事項・副作用


いかがでしたか?


心房粗動・心房細動・心室細動 など似た名称の不整脈が多く、混乱しますね。
全て違う不整脈ですし、人によって症状の出方は異なります。必要以上に怖がる必要はありません。


不整脈と診断されたら、自分の不整脈を正しく理解できるように医師の説明を聞いて下さいね。






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