看護師による不整脈の種類や原因・症状・治療法など徹底解説

聴きなれない病気 WPW症候群


WPW症候群という病気を聞かれたことはありますか?
聴きなれない病名ですが、発生頻度は1000人に数人程度と、少なくはありません。


WPW症候群は、不整脈の名前ではなく病名です。
3人の研究者であるウォルフ・パーキンソン・ホワイト氏の頭文字を取って名づけられています。


WPW症候群が原因で起こる不整脈がある、と覚えてください。
したがって、WPW症候群を持っている人がすべて不整脈を起こすわけではありません。
今回は、WPW症候群で不整脈が起こる原因や、治療について解説していきます。



WPW症候群は電気信号の通り道に関係する先天性疾患


正常の心臓では、心臓の筋肉を刺激し、心臓の拍動を生み出す電気刺激は、心房(心臓の上の部屋)から心室(心臓の下の部屋)へ決まった通路を伝わります。


WPW症候群では、心房と心室の間に、決まった通路以外の電気の通り道(副伝導路=ケント束)が存在しているのです。これは先天性疾患です。


WPWを分かりやすく説明すると


A町とB村の間には川が流れています。A町を心房、B村を心室としましょう
A町とB村の間には大きな橋があり、車はA町からB村への一歩通行です。通常は道路はスムーズに流れています。
大きな橋から少し離れたところに、小さな橋がかかっていました。
通常、小さな橋を使うことはありません。
しかし、小さな橋を使ってA町からB村に向かった車が、大きな橋を逆走してB村からA町に帰ってきてしまいました。


WPW症候群の副伝導路=ケント束は、この小さな橋に該当します。


小さな橋を渡った車が、通常ありえないA町方向への逆走を起こし、A町⇒B村⇒A町という回転性の流れを起こすことで不整脈が発生します。
橋は1本の人もいれば、何本かある人もいます。
小さな橋に車(電気刺激)が迷いこまない限り、何の症状もないというわけです。



WPW症候群で起こる不整脈


発作時は、発作性上室性頻拍という脈が速くなる不整脈が起こります。


特徴的な症状は、前触れなく突然脈が速くなる発作を起こすことです。
症状は、脈拍の速さと持続時間によって異なります。
多くは、早鐘を打つような動悸を自覚します。
脈拍があまりに早くなると、強い動悸、息苦しさ、胸痛、めまい、吐き気などの症状があらわれ血圧が低くなることがあります。失神発作などのアダムス・ストークス発作を起こすこともあります。


自然に治まることもあります。
自然に治まらない場合は、循環器のある病院に受診が必要です。
脈拍が早すぎる場合は、緊急処置が必要です。


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発作性心房細動
WPW症候群が、心房細動を合併することが少なくないことがわかってきました。
その症状は、発作性上室性頻拍と同じです。
そのなかで、副伝導路の通りが非常によい場合には、ごくまれに心室細動に移行して突然死を起こすことがある、ということが明らかにされてきました。
これらは「ハイリスクグループ」とよばれています。



WPW症候群は心電図で発見可能


異常な電気回路であるケント束の存在は、心電図で分かります。
頻拍発作が出ていない時の心電図で分かります。
先天的疾患のため、加齢によって徐々に出現・悪化する変化ではありませんので、幼少期から診断可能です。

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WPW症候群の治療

迷走神経刺激法
発作性上室性頻拍は、興奮が旋回する一方が副伝導路であっても、片方は房室結節ですから、迷走神経を刺激すると房室結節を抑えて発作を止めることができます。
(眼球圧迫、息を止める、指をのどに入れて嘔吐するなど)


しかし、心房細動には無効です。


薬物療法
発作性上室性頻拍は薬剤で定位させることも可能ですが、対症療法です。


発作性上室性頻拍に対して、房室結節の伝導を抑え頻拍を止める薬剤
ATP、ワラソン などの静脈注射


発作性上室性頻拍に対して、副伝導路の伝導を抑え頻拍を止める薬剤
アミサリン、リスモダンなどの静脈注射
などがあります。


カテーテルアブレーション
根本的な治療は、心臓カテーテルアブレーション治療です。


発作が長引いたり、頻脈出現の回数が多い場合は心臓カテーテルアブレーション治療の対象になります。


WPW症候群に対して成功率は90%以上となっていて、発作性上室性頻拍は起こらなくなります。
心房細動には無効ですが、心房細動が起こっても心室細動に移行することはなくなります。


合併症として、心室に穴があき(穿孔)、心臓をとりまく「心のう」に血液がたまり、心臓の動きが制限され(タンポナーデ)、ショックになるなど重篤なものもありますから、医師による十分な説明を受ける必要があります。


ただ、合併症も1%未満で、安全性はとても高くなっています。


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いかがでしたか?
WPW症候群はさほど珍しい病気ではありません。
多くは心電図検査で発見され、無症状で経過します
心臓自体に異常がない場合は、積極的な治療は必要ないことがほとんどです。


発作が頻繁に起こる、日常生活に支障をきたしている場合は、根治的な治療が望ましいと言えます。
循環器内科の医師とよく相談し、治療方針を決めてください。





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